【歯科】歯石除去が早いほど良い理由②

歯科担当獣医師の森田です!

今回のブログでは麻酔下での歯石除去の時期ついて解説していきます。
このブログを参考にお家のワンちゃん猫ちゃんの歯についてぜひ理解を深めていただければと思います。

全身麻酔下での歯石除去

犬も猫も歯石除去は全身麻酔での処置が推奨されています。
ただ、全身麻酔というとなるべく避けたいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
詳しくは「歯科処置に必要な麻酔の種類」をご覧ください。

愛犬・愛猫の歯の悩みがある方でも、

ちょっと歯石がついたくらいなら、待ってみようかな…
まだ若いから歯石とりはしなくても大丈夫かな…
歯が自然に抜けるまで待とうかな…

と思ってしまう気持ちはよくわかります。
しかし、実はここに大きな落とし穴があるのです。

待てば待つほど不利になる歯周病

下の写真をご覧ください。

上顎の第四前臼歯と第一後臼歯に歯石が沈着し、歯肉が赤くなっています。
この歯は犬では食べ物を噛むときに一番よく使う歯です。
この症例は見た目には軽度の色素沈着を認めるのみですが、歯科レントゲンを撮ってみると軽度歯周病がありました。
処置としては超音波スケーラーを用いて歯周ポケット内をきれいにした後、研磨剤で磨き上げ歯を温存することができ、麻酔処置は1時間ほどで終了しました。

次に下の写真を見てみましょう。

先ほどの症例に比べると同じ場所に分厚い歯石が沈着し、歯肉粘膜の色も紫がかって腫れています。
実際に歯科レントゲンを撮ってみると歯を支える歯槽骨が重度に融解しており、重度歯周炎と診断しました。

そのため、上顎の第一後臼歯の抜歯を実施しましたが、麻酔処置は2時間半にも及びました。

重度に歯周病を起こした歯は

・口腔鼻腔瘻
・出血
・歯肉粘膜のダウンエピテーション
・下顎骨の骨折

など、様々な症状やリスクがあり、処置の難易度や麻酔時間だけでなく症例本人の負担が大きくなってしまいます。
幸いこの症例は骨折も大きな出血もなく無事に抜歯処置を終えましたが、歯周病を放置すると歯を抜かなければいけないだけでなく処置自体のリスクも高くなってしまいます。

まとめ

このように、歯周病の治療は時間が経つほど進行し処置のリスクが高くなってしまいます。
お口のトラブルでお悩みでも麻酔に対して不安があるという方はぜひ当院の歯科をご受診ください。

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