歯科担当獣医師の森田です!
今回のブログでは猫の歯科疾患の中でも痛みを伴う口内炎について解説していきます。
この機会に愛猫のお口をぜひチェックしてみてあげてください!
歯肉炎と口内炎の違い
猫の歯肉炎は歯石/歯垢の付着部位に起こります。歯の周囲に限局した赤みや腫れ(炎症)を引き起こし、
歯周の炎症は頬側に多いのが特徴で、口の上側(口蓋)や舌、口の後側(口腔後部)に生じることはあまりありません。
症状はほとんどなく、気が付いたら歯が埋まっている歯槽骨や歯肉が後退し歯が抜けるほど進行してしまうことがあります。
対して口内炎は歯石、歯垢の付着が少なくても起こります。
また、歯肉だけでなく口蓋や舌にまで及ぶ粘膜の炎症で、特に口の後側(口腔後部)に著しい炎症を生じます。
症状は流涎や痛みが歯肉炎よりも顕著で、口を開けた時や食べ物を噛んだ時に突然鳴き声をあげたり口を触る動作をするなど強い痛みがみられます。
時にはその痛みによりご飯が食べられなくなってしまったり、攻撃的な性格に変わってしまうことすらある恐ろしい病気です。
猫の尾側口内炎の原因菌として、主に以下の細菌が関与していると考えられています:
主な原因菌
- ポルフィロモナス属(Porphyromonas spp.)
- この属には、歯周病の原因となる細菌が含まれています。炎症を引き起こし、病状を悪化させる可能性があります。
- フゾバクテリウム属(Fusobacterium spp.)
- 口腔内の感染症に関与する嫌気性菌で、炎症や潰瘍の原因となることがあります。
- プレボテラ属(Prevotella spp.)
- 歯周病の進行に寄与する菌で、免疫系を刺激し炎症を引き起こします。
- ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)
- 一部の種が歯垢形成や炎症を助長することで、病状の進行に寄与します。
- カンピロバクター属(Campylobacter spp.)
- 一部のケースで炎症に関連して検出されています。
菌との相互作用
これらの細菌は、口腔内の免疫応答や細菌間相互作用によって病態を複雑化させます。特に歯垢や歯石が蓄積すると、これらの嫌気性菌が増殖しやすくなり、炎症を悪化させます。また、ウイルス感染(例:猫カリシウイルス)との併発により、細菌性炎症が重症化することもあります。
これらの細菌はあくまで一因であり、免疫系や環境要因も重要な役割を果たします。診断と治療には、包括的なアプローチが必要です。
尾側口内炎の治療には上記の理由から抗生物質を使用することがあります。
抜歯に対して不安があるという方は当院にご相談ください。
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