当院の皮膚科医が執筆した書籍「皮膚科の処方ノート2023」より、皮膚科でよくみる疾患の簡単な解説を紹介致します。
今回は犬で特に多く認める、「膿皮症」について紹介します。
表在性膿皮症とは?
下の図にもあるように、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が何らかの原因によって表皮、毛包上皮内に侵入し、皮膚炎を引き起こした状態を指します。
下記のように、膿皮症は病変の深さによって、表面性、表在性、深在性があるので、この深さを意識して診断治療することが重要です。
本症の病態は完全に解明されていませんが、何らかの基礎原因による皮膚バリア機能の低下が関与していると推察されています。
若齢発症と、高齢発症で疑わしい原因は異なります。
膿皮症の種類
①表面性膿皮症
- 化膿性外傷性皮膚炎
- 間擦疹・皺壁皮膚炎
②表在性膿皮症
- 膿痂疹
- 表在性拡大性膿皮症
- 表在性細菌性毛包炎
③深在性膿皮症
- 深在性膿皮症
診断のポイント
問診による病歴や病変の肉眼的所見が類似することが重要です。
また、病変の押捺標本による細胞診によって、球菌の貪食像が確認できれば、ほぼ確定診断といえます。
膿皮症が確定されても、ニキビダニ症や天疱瘡など他の疾患が除外されるわけではないので注意が必要です。
病理組織学的検査は膿皮症と他の疾患の鑑別に役立ちます。
菌種や耐性性の評価に関しては、細菌培養同定および感受性検査が必要です。
治療のポイント
当院での治療は2014年に発表されたガイドラインに基づいて行います。
下の図で示した治療法のように、基本的には抗菌治療が適応となります(痒み止めではない点が重要です)。
抗菌治療は、大きく全身療法と局所療法(塗布剤とシャンプー)に分かれます。
今のところ、抗菌薬より消毒薬の方が薬剤耐性が誘導されにくいとされているため、消毒系薬剤の局所薬から使用することが推奨されています。
局所薬で制御できない場合は全身薬の適応となり、薬剤耐性が疑わしい場合は、細菌培養同定および感受性検査が推奨されます。
予後・その他
一般的には2週間程度で改善傾向がみられることが多く、改善を認めない場合、次の治療ステップに移行するか検討します(当院の基準)。
膿皮症が完治しても痒症が改善しない場合、犬アトピー性皮膚炎などの関与を疑います。
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