【歯科】歯科処置に必要な麻酔の種類

歯科担当獣医師の森田です!

今回のブログでは歯石除去や折れた歯を治療する際に必要な麻酔の種類について解説していきます。
日頃動物病院でどんな処置が行われているのか、一緒に勉強していきましょう!

麻酔とは

麻酔とは、”薬物投与によって神経活性を抑制し痛みなどの感覚を人為的に消失させること”と定義されています。
獣医師が動物に対して麻酔をかける際の主な目的として

① 痛みなどの苦痛を取り除くこと
② 処置の際に動かないよう不動化すること
③ 恐怖を感じさせないこと

の3つが挙げられます。
これは歯の処置に限らず手術にも共通することですが、仮に麻酔をかけずに歯科処置や手術を行うと、痛みや恐怖によって動物は苦しく辛い思いをしてしまい、さらには動いてしまうため十分な治療を行えないということを示しています。

麻酔と聞くと怖い印象を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な治療を動物の苦痛や恐怖なく施してあげるためにはとても重要で頼もしい獣医療行為なのです。

全身麻酔

一般的に麻酔というと、この全身麻酔を想像する方も多いと思います。
全身麻酔は主に外科手術や歯科処置などを行う際に、意識消失、筋弛緩、鎮痛、有害反射の防止を目的として行われます。
全身麻酔は主に以下の3つの方法を単独、あるいは組み合わせて行います。

吸入麻酔法:麻酔ガスや揮発性麻酔薬の気化ガスを酸素などのキャリアガスとともに吸入する方法
バランス麻酔法:意識消失、筋弛緩、鎮痛、有害反射の防止を鎮痛薬、麻酔薬、筋弛緩薬などを組み合わせて行う方法
・全静脈麻酔法:注射製剤のみを組み合わせるバランス麻酔法

これらのお薬は肝臓や腎臓、呼吸器官を経て代謝・排出されるため全身麻酔に際しては事前にそれら臓器の機能を血液検査や画像診断で確認しておくことがとても重要です。
また、全身麻酔は血圧や心拍数などの全身循環にも影響を及ぼすため、超音波検査などを用いて心臓機能の評価を行うことも大切です。

年齢が高齢であっても、全身麻酔を伴う治療によって得られる効果と、肝臓、腎臓、呼吸器、心臓の機能を適切に評価し麻酔のリスク&ベネフィットをしっかり把握することが大切です。

局所麻酔

人の歯医者さんでも一般的に行われているのが局所麻酔です。
動物の歯科処置の場合は全身麻酔と組み合わせて局所麻酔を使用します。
局所麻酔はその名前の通り、局所(皮膚の表面や歯茎、目、筋組織など)の知覚神経を麻痺させ鎮痛効果が得られます。
局所麻酔の主な投与方法として以下の2つが挙げられます。

・表面麻酔:局所麻酔薬を粘膜、皮膚、眼球の表面に滴下、塗布、噴霧する投与方法
・浸潤麻酔:局所麻酔薬を皮下、皮内、粘膜に注射する投与方法

また、歯科処置においては区域麻酔と言って神経が集まる場所に局所麻酔を投与し、その神経が近くする広い部分に対して鎮痛効果を得る方法もよく併用します。

局所麻酔を行うことによって施術中の疼痛反応や、施術後の痛みを抑えることができます。
効果は短いもので2〜3時間、長いものでも6〜8時間程です。

局所麻酔は投与量によって循環器系や呼吸器系に影響を及ぼす場合もあるため、施術にあたって呼吸器、心臓の機能を適切に評価することが重要です。

まとめ

このように、麻酔薬は体の状態を適切に評価した上で適切な使用をすることで、動物の症状の改善や健康維持にとても役立ってくれるものです。
特に歯科処置においては、意識がある状態で行ってしまうと動物が恐怖や苦痛を感じ、せっかく綺麗になったお口を触らせてくれなくなり歯磨きができなくなってしまう恐れもあるためこれらの麻酔の力を借りることがとても重要です。

お口のトラブルでお悩みでも麻酔に対して不安があるという方はぜひ当院の歯科をご受診ください。

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