上顎犬歯がない中齢犬①

歯科担当獣医師の森田です!

ワンちゃん猫ちゃんの歯列は左右対称になっています!
こちらの写真の症例は上顎の犬歯(牙)が大人になっても生えてこないという主訴で来院されました。

この歯を見た時、僕は全身麻酔下での精査をお勧めし、実際に歯科レントゲンを撮影しました。
この子のお口にはどんなリスクが潜んでいるでしょうか。解説していきましょう。

埋伏歯の危険性

上の写真の通り、この子のお口を見た際に気になったのは、左上顎犬歯・左上顎第1〜3前臼歯が萌出していないという点です。
対側の右上顎犬歯は萌出していましたが、右上顎第1〜3前臼歯は萌出していませんでした。

以前のブログでも書きましたが、あるべき歯がないといった際に疑うのは欠損歯埋伏歯です。詳しくは関連ブログ「小型犬に多い、欠損歯とは」をご覧ください。

もし埋伏歯があった場合、中年齢になって歯肉内で炎症を起こす歯源性嚢胞に繋がるリスクがあるため、この症例は全身麻酔下で歯科用レントゲンを撮影しました。

レントゲン検査によって埋伏歯ではなく、欠損歯だったことが判明したため外科手術には至りませんでしたが、
あるべき歯が生えてこないという症状は意外と気づきづらいこともありますので、お家のわんちゃん猫ちゃんのお口をぜひ確認してみてあげてください!