こんにちは。
神宮プライズ動物病院の馬場です。
前回はアロペシアXに似ている病気①として甲状腺機能低下症を紹介しました。
復習になりますが、アロペシアXに似ているけど、異なる疾患というのが大きく3つです。
①甲状腺機能低下症
②副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
③性ホルモン関連性疾患
今回はそのうちのひとつ、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)に関して説明していきます。
副腎とは腎臓のそばにあり、複数のホルモンを産生する器官です。
副腎から産生されるホルモンは大きく2つで、
副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)と副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)に分けられます。
副腎皮質機能亢進症は、このうちの副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)が過剰に産生される疾患です。
このホルモンは糖やタンパク質、脂質の代謝、さらには炎症の抑制など他にもさまざまな作用を持っています。
発毛に関しては、ステロイドホルモンが過剰になると、毛の成長が止ってしまうため、副腎皮質機能亢進症では、体幹の脱毛が起こります。
他の副腎皮質亢進症の症状としては、多飲多尿(水をいっぱい飲んで、おしっこをいっぱいする)や多食、皮膚の菲薄化、腹囲膨満(おなかがぽっこりしてくる)、筋肉の菲薄化などが認められることがあります。
診断は、症状や一般的な血液検査、腹部の超音波検査(副腎の大きさを測ります)、さらにはステロイドホルモンを測定し、確定に近づけていきます。
治療は、副腎皮質機能亢進症のタイプにもよりますが、ステロイドホルモンの過剰産生を抑えるような治療薬の内服が選択肢になります。
最初の話にもどりますが、この副腎皮質機能亢進症はアロペシアXと似ている症状をおこす疾患なので、しっかりと診断(もしくは除外)することがとても大事です。
この脱毛・薄毛はなに??と思ったらぜひお気軽にご相談ください。