【歯科】歯周病の進行と症状・治療

歯科担当獣医師の森田です!
このブログでは、歯周病の重症度について解説していきます。

歯周病と歯石の関係は、前回のブログ「歯石と歯周病」をご参照ください。

歯周病の進行別の症状・治療

ステージⅠ 歯肉炎

状態:歯肉の炎症のみを認め、歯を支える歯槽骨縁や歯周組織は正常です。

症状:部分的に歯茎が炎症を起こしていることで、歯磨きの際に出血を認めることがありますが、自覚症状はほぼありません。

治療:歯磨きなどのホームデンタルケアが適応になります。歯石が付着している場合は歯肉縁上スケーリングが適応になる場合もあります。

ステージⅡ 軽度歯周炎

状態:歯周組織に炎症が起こり、歯を支える歯槽骨が軽度に障害を受けた状態です。歯周ポケットが深くなります。

症状:歯肉が後退し、軽度の痛みを生じることがあります。

治療:歯周ポケット内に潜む歯周病原因菌を歯石ごと取り除く必要があります。そのため、ホームデンタルケアだけでは治療は完結できず全身麻酔下でのスケーリングやルートプレーニングが適応になります。

ステージⅢ 中程度歯周炎

状態:歯周組織の破壊と歯肉の後退が進行し、歯周ポケットがさらに深くなった状態です。歯によっては根っこが見えてしまうこともあります。

症状:痛みを生じ、片側だけでモノを噛む、口を触られるのを嫌がるなどの症状を生じます。

治療:全身麻酔下でのスケーリングやルートプレーニングが適応になります。場合によっては歯を抜かなければいけないこともありますが、歯周外科処置によって歯を温存することも可能な段階です。

ステージⅣ 重度歯周炎

状態:歯周組織の破壊が重症化し、本来の歯の根っこの深さに対して歯槽骨が半分以上溶けてしまった状態です。

症状:歯槽骨が脆くなることで日常的な刺激で顎の骨が骨折してしまう(病的骨折)リスクや、歯の根っこに膿が溜まってしまい顔が腫れてしまう(根尖膿瘍)リスクが生じます。

治療:歯を温存することが難しく、抜歯が適応になります。

まとめ

歯周病は進行すると痛みだけではなく、顔の腫れや顎の骨の骨折などの重篤な症状を引き起こします。
また、口内の健康だけでなく心臓、肝臓、腎臓などの臓器にも悪影響を及ぼします。(詳しくは前回のブログ「歯石と歯周病」をご参照ください。)

大切なことは
・一度ついてしまった歯石は麻酔下で丁寧に除去すること
・炎症や痛みがない状態で歯磨きなどのホームデンタルケアを行うこと
です。

愛犬・愛猫の健康のためにも、まずはお口の環境から整えてあげましょう!