欠けてしまった歯を治す③

歯科担当獣医師の森田です!

今回のブログでは歯が欠けてしまったときの治療方法についての解説第二弾です。
以前のブログ「欠けてしまった歯を治す①」では歯冠修復という治療について解説しました。
今回のブログではその一症例を紹介します。

お家で欠けた歯を見つける際のポイントは過去のブログ「犬と猫、折れやすい歯はどこ?」をご参照ください。

歯が欠けてしまうと

犬猫の歯は人と同じく、歯の中に神経や血管が通っています。
歯が欠けてしまい、神経(歯髄)が出てしまった状態を露髄と言います。
露髄が起こってしまうと、細菌が歯の内部に侵入し、細菌感染が起き、歯髄は壊死し、症状が進むと根の先の炎症「根尖性歯周炎」が起きてします。

また、露髄はしなくても歯が欠けて内部の象牙質が露出してしまうと、知覚過敏などの症状につながると言われています。
いずれにしても欠けた歯は放っておかずに適切な治療を施す必要があります。

欠けてしてしまった歯の治療法

露髄を伴わない場合は歯冠修復が適応となります。
露髄を伴う場合、生活歯髄切断もしくは抜随治療が適応になります。
詳しくは「欠けてしまった歯を治す②」をご覧ください。

下の写真は第四前臼歯が折れてしまったわんちゃんです。

肉眼的には露髄しているかどうか判断が難しく、歯科レントゲンの撮影を行いました。

矢印で示した場所に象牙質が残っており、歯髄腔にギリギリ達していないと判断しました。
象牙質は再生するため露髄してから再生した可能性も否めませんが、根尖周囲病巣がないことを確認し神経を温存する治療を選択しました。

歯冠修復

まず、汚染された象牙質を除去していきます。切削するための専門的な機械と歯科用の消毒液を用いて徹底的に綺麗にします。
切削する際に歯髄腔に達してしまわないように細心の注意を払います。

切削、消毒を終えたら歯科用のコンポレットレジンで表面を修復し歯の形状を形作ります。

まとめ


日頃硬いものを噛む習慣があるワンちゃんは第四前臼歯(奥歯)が非常に折れやすいため、毎日の確認がとても大切です。
神経を残せるかどうかは発見してから受診するまでの時間がとても重要ですので、お家で気付かれた際はすぐに動物病院を受診しましょう。

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