歯が足りない!?埋伏歯の危険性

歯科担当獣医師の森田です!

今回のブログでは意外と知られていない犬の埋伏歯について解説していきます。
特に小型犬を飼われている方はこのブログで愛犬の歯についてぜひ理解を深めていただければと思います。

犬の歯の本数

犬の永久歯は全部で42本あり、内訳は切歯(前歯)が12本、犬歯(牙)が4本、臼歯(奥歯)が26本となっています。
この本数は犬種が変わっても基本的に変わることはありません。
しかしながら、近年犬の小型化が進むにつれて歯に対しての顎の大きさが小さくなり、生まれつき大人の歯がない欠損歯に遭遇することが多くなりました。

欠損歯と埋伏歯

あるべき永久歯が無いことを欠損歯と言います。
この欠損歯と区別がつきづらいのが生えるべき歯が生えずに埋まったままになる埋伏歯です。

正常な犬の歯並びを見てみましょう。

切歯と後臼歯は写真に写りきってはいませんが、重要なのは番号がついている前臼歯です。
お家で愛犬の歯並びを見るときは黄色い矢印の大きな歯を目印に、間に何本歯があるかを確認してみましょう。
目印となる大きな犬歯と臼歯の間には通常、上顎は歯が3本、下顎は歯が4本生えています。

続いて、下の写真を見てみましょう。

先程の子の歯並びと違って、目印の歯の間には上の歯が1本、下の歯が2本しか生えていません。
つまり、上の歯も下の歯も2本ずつ少ないのです。
ここで、足りない歯がもともと無い欠損歯なのか、埋まっている埋伏歯なのかがとても重要になります。

欠損歯と埋伏歯は見た目で見分けることはできないため、レントゲン写真で確認します。


上の写真の子は、レントゲンで確認したところあるべき歯がない欠損歯でした。
欠損歯は健康上、特に問題になることはないためこの子は歯石を除去して処置を終えています。

もし埋伏歯だった場合、埋まっている歯を中心に炎症を起こし歯茎が腫れてしまう含歯性嚢胞の原因となってしまいます。
含歯性嚢胞は放置すると歯を支える歯槽骨が破壊されてしまうため、歯が少なく埋伏歯の可能性がある場合は必ず動物病院を受診しましょう。

続いて下の写真を見てみましょう。

上の切歯が左右3本ずつ、合計6本生えているので一見問題ないように見えますが
実は白矢印で示した端の切歯2本は乳歯です。

となると、永久歯が1本足りないことになります。
歯科レントゲンの所見がこちらです。

白矢印の乳歯の根本に、緑矢印で示した永久歯が埋まっています!
この症例は2歳でしたので、今後この埋伏歯が萌出することはおそらくないでしょう。

埋伏歯は放置すると6歳などの中年齢で歯肉が腫れてしまう含歯性嚢胞のリスクになります。
見つかった場合は基本的に抜歯処置が必要ですので、乳歯が残っている子や永久歯が足りない子は必ず歯科レントゲンを撮ってもらいましょう。

皆さんもぜひ愛犬の歯の本数を数えてみてあげてくださいね!

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